歌声作声

VOCALOIDで歌を作ることに関する考察と記録です

人形姫公開

http://www.nicovideo.jp/watch/sm18184393

黒いマーカーとは違い、本作はまず今から約1年半前に曲とメロディが完成し、そこから依頼した他者により歌詞、動画をつけていく形態になった。曲は途中からダイナミックに展開することを念頭に作られたが、歌詩にどのようなものが入ってくるかはまったく想定できなかったので、詩をつける人間に任せられることになった。

このとき既に詩を依頼した作詞者の中には物語が出来上がりつつあって、それを基に構成が進んだ。その結果どうだろうか?聞いた方の中にはこれは物語であって歌でない、と思われた方も少なくないと思う。

正直なところ自分としても繰り返しが1度たりとも無い詩がこの曲に乗ってくるとは思っていなかった。しかし、曲のダイナミックな展開(1番と2番でリズムの質が違う)から、そのような流れが作詞者によって選択されたので、それも一つの解だと思っている。実際、最初はこの詩の構成に自分も反対していたが、出来上がった後はこれも一つのゴール地点だと感じている。

オペラ(歌劇)というエンターテイメントジャンルがある。この曲はそれに近い。一度の繰り返しの無い歌詞と動的な曲展開は、歌として歌うには乗りにくいが、ストーリーを背景とした場合にそれを浮き彫りにさせる力がある。詩は部分部分をはしょって(原文が特設サイトに公開されている)いるため、1聴で全て理解するのは難しいと予想されるが、背景を理解したときにこういう表現技法もアリなのかな、と感じられると思う。

とにかく、異色ではあるが作品としては一つの終着点に立っていると思う。いきさつと創作背景ばかりになってしまったが、この曲の作声については機会があれば書こうと思う。