VOCALOID EDITOR3 作声手順メモ(1)
1曲目、2曲目ともにリリースが近いので、VocaloidEditor3を使った作声手順とポイントについて忘れる前にまとめる。
なお、以下の説明はVOCALOID EDITOR3でMegpoid Powerを用いた場合の手順。
1.SMF(.mid)の作曲
インスト部分をmidiで作成する。歌部分は、一定ベロシティ(VELには反映されない)である程度長さを考慮してうちこむ。
SMF側のエクスプレッションはDYNの値に置換されるが、個人的にはmidi側でがんばってもどうせVE3で歌詞に対する個別調整が必要なため、エクスプレッションも100前後で一定にしておけばよい。
歌パートのチャンネルは同一でも良いがトラックは分ける。
完成したmidiのほかに、BGM用で歌パートをmuteしたものを録音する。
2.歌詞の流し込み
歌詞をテキストから全曲分流し込み、ずれがなく曲末まで終わることを確認する。
大抵の場合、「つつんだ」などの音数と文字数が合わない部分で全体がずれるので、ノートまたは歌詞を増減して調整する。
3.歌手パラメータの設定
歌手パラメータを設定する場合は必ず作声に取り掛かる前に行う。ここで調整できる
- ブレシネス
- ブライトネス
- クリアネス
- ジェンダーファクター
は、曲内で変動指定可能なパラメータを一定量オフセットさせる効果を持つ。
曲の編集途中での変更は今までの調整をずらしてしまう可能性があるので避ける。
ブレシネスとクリアネスについてはエディタ側では初期値0、+にすると効果付加のパラメータなので、歌手パラメータでマイナスを指定した場合は効果がその範囲で無効化される。たとえばマイナス10を指定した場合は、調整値BRE,CLEの1~10は全て0扱いになる。マイナス127を指定すると、曲中の調整は全て0扱いになる。
ブライトネスとジェンダーファクターは中央値64のパラメータで上下変動で調整するため±両方がオフセットされる。
歌手パラメータを調整するときは、ざっと設定してみて不自然に聞こえないレベルにする。自分の場合は、結局どれかの値を10以上変動させると不自然な感じに聞こえたので、曲中での調整にまかせることにしてALL0にしている。
4.パートの歌唱スタイルの設定
これも編集前に指定する。ノートのプロパティを指定したあとにこれを実行すると、パート中の全ノートの設定が上塗りされる。
自動のピッチ変動は不自然で嫌なので全て0にしている。自分の2曲目の場合はディケイ30、アクセント60に指定した。
5.発音調整
ここが一番しんどい。まず、全ノートのつながり、および発音の出だしがおかしくないように調整する。
ダイナミクスの上下でつながりすぎのものは断絶する。ほぼ全てのノートが、ノートの設置タイミングの手前から発音が開始される(最重要)。子音を含む発音全てに該当する傾向。
たとえば「す」なら「s→ノートの設置タイミング→u→のばす」となる。よって発音の明瞭さを確保する場合は、ダイナミクスをノートの少し前から立ち上げる。
前の発音がつながって、または勝手にベンドして気に食わない場合は、たとえば「か」の前に発音記号「k」のみの短いノートを挿入する。この挿入タイミングと長さはかなりコツがいるので慣れるしかない。
長すぎ、開きすぎると効果がなく、短すぎるとノイズ化する。
後半の母音部の伸ばしがきにいらない場合は、「ら」を短い「ら」と「あ」に分割するなどして対応する。
ダイナミクス調整後も明らかに発音が不自然な場合は、さらにベロシティとノートプロパティのアクセント調整をかける。ベロシティは、「64を中心にアタック間を高くしたり低くしたりする」と記述があるが、VE3からなんだか癖のある動きをする。基本64で進み、不自然なときに上下させてみてトライする。
この作業を全ノートに対して適用する。パートが複数ある場合は、1パート仕上げてから次にうつる(コピーなども有効)。この作業には数分の曲に対して確実に数時間かかる。
長くなったので続きは次回。