歌声作声

VOCALOIDで歌を作ることに関する考察と記録です

VOCALOID EDITOR3 作声手順メモ(2)

前回に引き続き作声メモ後半。VOCALOID EDITOR3でMegpoid Powerを用いた場合の手順。

補足になるが、自然な作声を目指すにあたって最も参考になるのは実際の人間の歌い方なのは間違いないので、一度自分もしくは他の人間に歌ってもらうことを推奨する。

 

6.全体のダイナミクスバランス調整

 発音調整が完了したら、全体を通した音量のバランスをダイナミクスの増減で調整する。発音調整時に行ったダイナミクス調整は局所的で、あるメロディー部分やサビだけ他と比べて音量が大きくなっている可能性がある。これを曲全体でバランスよくなるように調整する。

 このとき、録音したBGMをWAVEトラックに登録しミキシングしながら調整できる。ただし、発音調整は必ずパート単独で行う。ミキシングしながら発音調整すると聞き逃しが生じるが、あとでじっくり聞くと必ず不自然さが残る。

 パートが複数ある場合はミキサーボリュームで全体の音量を調整し、各パートのバランスを取る。

7.ブレス調整

 歌とは別のトラックにブレスパートを作ってブレスを編集する。ブレスのつけかたはお好みで。自然なブレスは、少し長めにbrのノートを作っておいて、ダイナミクスを0から100付近に立ち上げて下げることでコントロールできる。ブレスパート完成後はミキシングで他のパートとあわせて音量バランスを確認する。

8.ピッチベンド調整

 ピッチベンドは跳躍部分やフレーズの途中でしゃくれを表現したい場合に用いる。大胆にかけすぎるとあからさまになるが、中途半端にかけるとハーモニーが気持ち悪くなるだけなのでこのへんのコントロールが難しい。自分もまだ修行が必要だと思っているが、しゃくれなどを除いては一定値から一定値を短く直線でつなぐと自然になることが多い。

9.ビブラート調整

 ダイナミクスでビブラートを調整する人もいるが、ダイナミクスはあくまで音量調整のパラメータであり、実際音量を変えたいときにはビブラートが独立したパラメータのほうが扱いやすい。

 ビブラートは大抵フレーズの終わりに強めにかかる。また、途中の長い母音にもかかりやすい。いくつか種類があるが、試してみて一番自然なものを選ぶと良いとおもう。時々BGMをミキシングしながら確認すると仕上がりが良い。自分の場合、ボーカルオンリーのビブラートは、たいていの場合自分が想定したより少し強めにかける必要があった。

10.ブレシネス、クリアネス調整

 ここまで時間をかけて調整すると、ある程度聞ける歌が出来上がるが、抑揚がなくてつまらない歌い方をしているように聞こえる。そこで、シャやチャ、サビの頭などの強調部分をブレシネスとクリアネスを適度にかけることで明確にして仕上げる。ブレシネスとクリアネスは常時かけすぎると単なるノイズになるので、発音の肝になる部分に必要なところだけ効果をつけていく。このほかのオープニング、ブライトネス、ジェンダーファクターは曲中で変動させると不自然に感じられたので一定値のままにするのが自分としては好みだった。

11.エフェクタ

 全パート完成したら曲とミキシングしながらエフェクタを調整する。VE3のエフェクタはかなり敏感なので、設定値1でも大分違う。何回か長いフレーズを聞きながら、自然になる部分で調整する。

12.仕上げ

 全曲を通して聞き、不自然な部分を適宜修正して仕上げる。ミキサーボリュームを大きくしすぎると音量がオーバーロードするので、ある程度のところで留めること。

 

2曲作声した時点でのメモ。今後に活かしたい。