春に
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20726454
Megpoidコンプリートを購入したが、Powerしか使っていなかったのでほかのタイプはどうなんだろうと思い、合唱曲を作ってみることにした。この曲を選んだのは、もともと曲が好きだったこと、時期的にマッチしていること、小学生でも歌える混声三部であり、男性パートが極端に低くないためGUMIでも作れること。
ピアノの木下牧子さんは日本を代表する合唱作曲者のようだが、ピアノを耳コピした時点で音の使い方のうまさに圧倒された。音数は少なくても、感情豊かな響きがあり、かつ全体として非常に美しくまとまっていた。いつかこんな曲を作れるようになりたい。
谷川俊太郎さんは、国語の教科書を読んだ人なら知らない人はいないとおもうが、詩の表現力にもこれまた圧倒される。あしのうらとかのどとか、自身が感じられるからだの一部分と、大地やダムといったスケールの大きな世界が見事に交じり合って綺麗な情景が見える。
共同制作では、最終的に作品が表現したいものをどれだけ全員が理解しているかがポイントになってくる。木下さんは自身のブログにもかかれているが、やはり作詩者の詩を十分に吟味した上で曲を構成する必要があり、歌う側も詩の意味を理解すると別の世界が見える。自分の作品の世界観まで他人に伝えるのは並大抵のことではないが、共同制作の場ではこのようなスタイルが理想的といえる。手本にしたい。
gumi whisperが結構良い声であることがわかった。中島愛を少し坂本真綾よりにしたような声質だ。adultの低い声は、なぜかさだまさしに聞こえてならない。
人形姫公開
http://www.nicovideo.jp/watch/sm18184393
黒いマーカーとは違い、本作はまず今から約1年半前に曲とメロディが完成し、そこから依頼した他者により歌詞、動画をつけていく形態になった。曲は途中からダイナミックに展開することを念頭に作られたが、歌詩にどのようなものが入ってくるかはまったく想定できなかったので、詩をつける人間に任せられることになった。
このとき既に詩を依頼した作詞者の中には物語が出来上がりつつあって、それを基に構成が進んだ。その結果どうだろうか?聞いた方の中にはこれは物語であって歌でない、と思われた方も少なくないと思う。
正直なところ自分としても繰り返しが1度たりとも無い詩がこの曲に乗ってくるとは思っていなかった。しかし、曲のダイナミックな展開(1番と2番でリズムの質が違う)から、そのような流れが作詞者によって選択されたので、それも一つの解だと思っている。実際、最初はこの詩の構成に自分も反対していたが、出来上がった後はこれも一つのゴール地点だと感じている。
オペラ(歌劇)というエンターテイメントジャンルがある。この曲はそれに近い。一度の繰り返しの無い歌詞と動的な曲展開は、歌として歌うには乗りにくいが、ストーリーを背景とした場合にそれを浮き彫りにさせる力がある。詩は部分部分をはしょって(原文が特設サイトに公開されている)いるため、1聴で全て理解するのは難しいと予想されるが、背景を理解したときにこういう表現技法もアリなのかな、と感じられると思う。
とにかく、異色ではあるが作品としては一つの終着点に立っていると思う。いきさつと創作背景ばかりになってしまったが、この曲の作声については機会があれば書こうと思う。
黒いマーカーのテキストコメンタリー
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17289807
BGMとして繰り返し聞くならこのくらいのビットレートは最低ほしい、というところまで音質を上げて、バックはピアノミキサーでビットレートを抑えたものを公開。
ニコニコ動画の良いところは曲の任意の部分に対してリアルタイムにコメントができることだと思う。このことは評価者にとっても作曲者にとっても掲示板などで議論するより都合が良い。
黒いマーカーより前にVOCALOID曲がもう1曲完成しているのだが、動画がなかなか仕上がってこない。今のうちに3曲目にとりかかろうか迷う。
黒いマーカー
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17223103
やっと公開。結局、エコノミー回避のため画質と音質は落とすことになった。エコノミー状態の音質はジョイントステレオのようなことをしており、左右の音量差が原曲とかわってしまう。これはいただけない。
なんとか音質も妥協できるところまで押さえ込んだがもう少しレートがほしかったなあというところ。
全体的に昨今の地味だが聞き応えのある作品にしあがったかなあと思います。
近日中にテキストコメンタリー(鍵盤動画)を公開したい。そちらで少し高音質をのせられるかなと思う。
黒いマーカーに対するコメントはこちらでうけつけます。
公開に先立って
今回第一作目の曲完成後、動画をどうしてもリズムに合わせたかったため自作で動画メーカを作った。動画ビューアはGUIだがエディタはスクリプトベースで、公開する次曲のスクリプトは2400行に達する(全て手打ち)。動画メーカーの公開も考えたが、使い方を誤まるとHDD上の数10ギガバイトを確保しにいこうとしたり、フレームレート、動画フォーマットとの関連性が難解であることから今のところ非公開の方向で考えている。ただ、動画を作ることの楽しさ難しさ、動画メーカーに必要なものが明確になって大変ためになった。
動画の作成には実時間で百時間以上は費やしていると思う。慣れていないこともあったが、もし次回作をつくるなら動画は手慣れの方にたのみたい。
公開する動画の形式に悩んでいる。ニコニコ動画では440kbpsを超えるビットレートの動画は混雑にエコノミー化(低画質モード)する。これを避けるには440kbps以下で動画を構成する必要があるが、音声面(AAC Q-based)ではmustで120k,試作時には300kbpsを使っており苦しい。
エコノミーモードの音質はだいたいAACの64k(LC)とのことなので、まったく聞けなくなるほどにはならない見込み。このため、試作時と同じモード(動画約2MBps,音声300kBPS)でエコノミーを回避せずアップロードし、空いているときとプレミアム会員の方には高画質で楽しんでいただきたい。
作業自体は残りわずかです。
VOCALOID EDITOR3 作声手順メモ(2)
前回に引き続き作声メモ後半。VOCALOID EDITOR3でMegpoid Powerを用いた場合の手順。
補足になるが、自然な作声を目指すにあたって最も参考になるのは実際の人間の歌い方なのは間違いないので、一度自分もしくは他の人間に歌ってもらうことを推奨する。
6.全体のダイナミクスバランス調整
発音調整が完了したら、全体を通した音量のバランスをダイナミクスの増減で調整する。発音調整時に行ったダイナミクス調整は局所的で、あるメロディー部分やサビだけ他と比べて音量が大きくなっている可能性がある。これを曲全体でバランスよくなるように調整する。
このとき、録音したBGMをWAVEトラックに登録しミキシングしながら調整できる。ただし、発音調整は必ずパート単独で行う。ミキシングしながら発音調整すると聞き逃しが生じるが、あとでじっくり聞くと必ず不自然さが残る。
パートが複数ある場合はミキサーボリュームで全体の音量を調整し、各パートのバランスを取る。
7.ブレス調整
歌とは別のトラックにブレスパートを作ってブレスを編集する。ブレスのつけかたはお好みで。自然なブレスは、少し長めにbrのノートを作っておいて、ダイナミクスを0から100付近に立ち上げて下げることでコントロールできる。ブレスパート完成後はミキシングで他のパートとあわせて音量バランスを確認する。
8.ピッチベンド調整
ピッチベンドは跳躍部分やフレーズの途中でしゃくれを表現したい場合に用いる。大胆にかけすぎるとあからさまになるが、中途半端にかけるとハーモニーが気持ち悪くなるだけなのでこのへんのコントロールが難しい。自分もまだ修行が必要だと思っているが、しゃくれなどを除いては一定値から一定値を短く直線でつなぐと自然になることが多い。
9.ビブラート調整
ダイナミクスでビブラートを調整する人もいるが、ダイナミクスはあくまで音量調整のパラメータであり、実際音量を変えたいときにはビブラートが独立したパラメータのほうが扱いやすい。
ビブラートは大抵フレーズの終わりに強めにかかる。また、途中の長い母音にもかかりやすい。いくつか種類があるが、試してみて一番自然なものを選ぶと良いとおもう。時々BGMをミキシングしながら確認すると仕上がりが良い。自分の場合、ボーカルオンリーのビブラートは、たいていの場合自分が想定したより少し強めにかける必要があった。
10.ブレシネス、クリアネス調整
ここまで時間をかけて調整すると、ある程度聞ける歌が出来上がるが、抑揚がなくてつまらない歌い方をしているように聞こえる。そこで、シャやチャ、サビの頭などの強調部分をブレシネスとクリアネスを適度にかけることで明確にして仕上げる。ブレシネスとクリアネスは常時かけすぎると単なるノイズになるので、発音の肝になる部分に必要なところだけ効果をつけていく。このほかのオープニング、ブライトネス、ジェンダーファクターは曲中で変動させると不自然に感じられたので一定値のままにするのが自分としては好みだった。
11.エフェクタ
全パート完成したら曲とミキシングしながらエフェクタを調整する。VE3のエフェクタはかなり敏感なので、設定値1でも大分違う。何回か長いフレーズを聞きながら、自然になる部分で調整する。
12.仕上げ
全曲を通して聞き、不自然な部分を適宜修正して仕上げる。ミキサーボリュームを大きくしすぎると音量がオーバーロードするので、ある程度のところで留めること。
2曲作声した時点でのメモ。今後に活かしたい。
VOCALOID EDITOR3 作声手順メモ(1)
1曲目、2曲目ともにリリースが近いので、VocaloidEditor3を使った作声手順とポイントについて忘れる前にまとめる。
なお、以下の説明はVOCALOID EDITOR3でMegpoid Powerを用いた場合の手順。
1.SMF(.mid)の作曲
インスト部分をmidiで作成する。歌部分は、一定ベロシティ(VELには反映されない)である程度長さを考慮してうちこむ。
SMF側のエクスプレッションはDYNの値に置換されるが、個人的にはmidi側でがんばってもどうせVE3で歌詞に対する個別調整が必要なため、エクスプレッションも100前後で一定にしておけばよい。
歌パートのチャンネルは同一でも良いがトラックは分ける。
完成したmidiのほかに、BGM用で歌パートをmuteしたものを録音する。
2.歌詞の流し込み
歌詞をテキストから全曲分流し込み、ずれがなく曲末まで終わることを確認する。
大抵の場合、「つつんだ」などの音数と文字数が合わない部分で全体がずれるので、ノートまたは歌詞を増減して調整する。
3.歌手パラメータの設定
歌手パラメータを設定する場合は必ず作声に取り掛かる前に行う。ここで調整できる
- ブレシネス
- ブライトネス
- クリアネス
- ジェンダーファクター
は、曲内で変動指定可能なパラメータを一定量オフセットさせる効果を持つ。
曲の編集途中での変更は今までの調整をずらしてしまう可能性があるので避ける。
ブレシネスとクリアネスについてはエディタ側では初期値0、+にすると効果付加のパラメータなので、歌手パラメータでマイナスを指定した場合は効果がその範囲で無効化される。たとえばマイナス10を指定した場合は、調整値BRE,CLEの1~10は全て0扱いになる。マイナス127を指定すると、曲中の調整は全て0扱いになる。
ブライトネスとジェンダーファクターは中央値64のパラメータで上下変動で調整するため±両方がオフセットされる。
歌手パラメータを調整するときは、ざっと設定してみて不自然に聞こえないレベルにする。自分の場合は、結局どれかの値を10以上変動させると不自然な感じに聞こえたので、曲中での調整にまかせることにしてALL0にしている。
4.パートの歌唱スタイルの設定
これも編集前に指定する。ノートのプロパティを指定したあとにこれを実行すると、パート中の全ノートの設定が上塗りされる。
自動のピッチ変動は不自然で嫌なので全て0にしている。自分の2曲目の場合はディケイ30、アクセント60に指定した。
5.発音調整
ここが一番しんどい。まず、全ノートのつながり、および発音の出だしがおかしくないように調整する。
ダイナミクスの上下でつながりすぎのものは断絶する。ほぼ全てのノートが、ノートの設置タイミングの手前から発音が開始される(最重要)。子音を含む発音全てに該当する傾向。
たとえば「す」なら「s→ノートの設置タイミング→u→のばす」となる。よって発音の明瞭さを確保する場合は、ダイナミクスをノートの少し前から立ち上げる。
前の発音がつながって、または勝手にベンドして気に食わない場合は、たとえば「か」の前に発音記号「k」のみの短いノートを挿入する。この挿入タイミングと長さはかなりコツがいるので慣れるしかない。
長すぎ、開きすぎると効果がなく、短すぎるとノイズ化する。
後半の母音部の伸ばしがきにいらない場合は、「ら」を短い「ら」と「あ」に分割するなどして対応する。
ダイナミクス調整後も明らかに発音が不自然な場合は、さらにベロシティとノートプロパティのアクセント調整をかける。ベロシティは、「64を中心にアタック間を高くしたり低くしたりする」と記述があるが、VE3からなんだか癖のある動きをする。基本64で進み、不自然なときに上下させてみてトライする。
この作業を全ノートに対して適用する。パートが複数ある場合は、1パート仕上げてから次にうつる(コピーなども有効)。この作業には数分の曲に対して確実に数時間かかる。
長くなったので続きは次回。